ショックレー変位を伴うフランク型積層欠陥の積層の順番
図 4-2では、4H-SiCの4つあるABA’C’の四面体層のうちB-site層を消去しました。同様に他の層の消去も想定して、積層欠陥の周りの積層の順番を考えます。消去する層は4種類あります。
図 4-1の作り方で作成可能な、ショックレー変位成分を伴うフランク型積層欠陥とフランク型部分転位は全部で6種類あると考えられます。それらを図4-3に示します。6種類のこれらのフランク型格子欠陥には(e), (f), (g)….と簡単なノーテーションを割りふっています。同時にどういう操作でこの構造を作り出したのかを示す便宜上の簡単な名前も付けています。2AB→Aの2は、図 4-1のやり方で作ったフランク型積層欠陥であることを示しています。2AB→AのAは、A層を消去することを示しています。2AB→AのB→Aは消去したA層の上のB層をA層に変位させたことを示しています。図 4-3では2AB→B‘と2A’ C’→Cが欠落しているように思われるかもしれませんが、2AB→B‘と2A’ C’→Cは結局、連載”その(3)”で現れたものと同じになります。つまり2AB→B‘= (a)1AB→B‘、2A’ C’→C = (c)1A’C‘→Cになるので、このリストには示していません。
図 4-3の積層の状態の模式図を図 4-4に示します。6種類の異なる積層欠陥の作り方を考えましたが、2 種類の積層構造に収束しています!この2種類はお互いに映進対称の関係にあります。4H-SiCの(1100)面は映進対称面なので、現れる格子欠陥にも映進対称性を持つものが現れます。映進対称性を考慮すると、現れるフランク型積層欠陥の構造は1種類のみという結論としても良いかもしれません。Zhadanovの表記法では図4-3の積層欠陥は全て…, 2,2,1,2,2, …になります。積層欠陥の断面をTEMやSTEMなどで撮影して、…, 2,2,1,2,2, …の構造が現れた場合は、ショックレー変位付きの欠損したフランク型積層欠陥かもしれません。
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